中小IT企業のSEが、会社とサッカーチームと恋人との時間を行き来する、日常世界を描いた小説です

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第62話

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 月曜日、休日が終わった後の、最初の平日。
 俺は、いつものように会社の自分の席で、ノートPCに向かって時間を刻んでいる。
 先週までで単体テストのフェーズは終わり、今日から結合テストに入っている。用意されている結合テスト仕様書の内容に沿って、システムを操作する。確認結果のエビデンスとして、主に画面ハードコピーを結合テスト仕様書に張りつけていく。期待値と異なる部分があれば、バグとして不具合管理表に記載する。
 初日の午後3時時点では、まだあまり記載されていない。これからわらわらと挙がってくるのかもしれないが、品質が悲惨なプロジェクトでは、今ぐらいの時点でテストが止まるケースもある。少なくとも、それには該当しないわけだから、とりあえず順調なスタートを切ったと言えるのだろう。
 その後も淡々とテスト項目を消化していき、定時を向かえた。
 第1会議室で、プロジェクトメンバー全員参加のミーティングが開催されて、状況の確認が行われる。
 結合テストは、想定よりも順調に進んでいる。ただ、スケジュールには決して余裕があるわけではないので、今日もこれからできるだけ進捗を進めてほしい。
 ミーティングの最後で、プロジェクトマネージャーから伝えられる。要するに、残業してくれ、ということだ。
 そんなわけで、延長戦キックオフ。プロジェクトマネージャーという司令塔の、手足となって動く俺たちプロジェクトメンバーは、再び各々の席へと散らばった。

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